irAEの適切な対処法

臨床からの実例

Case Reportのご紹介

オプジーボ、ヤーボイ投与による副腎皮質機能低下症に関する症例は少ないのが現状ですが、中には副腎クリーゼなど重篤なケースに発展する場合があることも報告されています。一方で、早期発見と適切な対処により管理が可能となることもわかってきました。
「臨床からの実例」では、早期診断、適切な治療介入の参考にしていただけるよう、これまでに報告された症例の一部をCase Reportとしてまとめました。これらの知見を日常診療の場でご活用いただけましたら幸いです。

Case Report の見かた

  • 「治療経過」では、内分泌学的検査や負荷試験の結果を図や数値で示すなど、治療経過をわかりやすくまとめました。
  • 「専門医からのコメント」では、治療経過や画像所見から読み取った症例の解説や対処法について、監修者よりコメントをいただきました。

ここで紹介する症例は、今まで報告された症例の中から抜粋した症例ですが、検査や治療については個々の症例で異なりますので、患者状態を考慮し、症例ごとでご判断ください。

症例① オプジーボ投与により原発性副腎皮質機能低下症を発症した症例

年齢、性別
70歳代、女性
原発
切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(T1aN3M1b)
転移部位
リンパ節転移(N3)
合併症
緩徐進行1型糖尿病、高血圧、潜在的自己免疫性副腎不全

治療歴

治療歴

治療経過

治療経過
図1 迅速ACTH負荷試験
図1 迅速ACTH負荷試験
図2 CRH負荷試験
図2 CRH負荷試験

専門医からのコメント

本症例はオプジーボ投与後に原発性副腎皮質機能低下症を呈した症例である。PD-1抗体により引き起こされる副腎皮質機能低下の症例は下垂体性(ACTH単独欠損症)が多く報告されているが、本症例ではACTH値が著明高値となり、負荷試験ではコルチゾールが無反応で、ステロイドマップにおけるプレグネノロン以下すべてのコレステロール代謝産物が低下していたことから原発性と診断した。
副腎皮質機能低下の進行に伴う副腎クリーゼでは重篤な病態に至ることがあり、倦怠感、低血糖、低ナトリウム血症といった初期の臨床徴候を見逃さないようにすることが重要である。

※:オプジーボの国内で現在承認されている切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する用法及び用量は、「通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。
他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合は、通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回360mgを3週間間隔で点滴静注する。」です。